「ほぼ聖杯」検証
ししゃもの「ほぼ聖杯」が書籍化されることを記念してあらためて検証記事を書いてみます。
表紙からわかるように簡単なロジックは日本時間8時~16時につけた高値安値の半値まで戻る、というものです。
※実際のエントリー条件にはオシレーターでフィルターをかけています。
表紙が2012年に発売された17時からはじめる東京時間半値トレードとよく似てますが、ロジックそのものは違うようです。
実際にマニュアルを基にEA(自動売買ソフト)を作成し機械的に取引した場合の検証をしてみます。
共通の検証条件:ロット:1万通貨 期間:2016.1.1-2020.12.11 スプレッド:1pips
曖昧なエントリー条件としてエントリー可能時間に高値安値の近くにある時に反転を狙ってポジションを持つというものがあるため高値安値までの距離が10pips以内、20pips以内のパターンに分けて検証を行いました。
またリスクリワードが低い場合もエントリーを避けるため、エントリーポイントから半値までの距離が高値安値までと同じpips以上の場合にフィルターをかけています。
また、日本時間8時~16時の高値安値が損切ラインですが、SLが近すぎると逆指値が入らない業者もあるため5pips未満の場合は損切ラインは-5pipsとしています。
高値安値まで10pips以内 | GBPJPY | GBPUSD | AUDJPY | AUDUSD |
トレード回数 | 770 | 746 | 529 | 481 |
損益 | -79350 | -71942 | -36720 | -54167 |
勝率 | 27.9% | 30.0% | 28.8% | 29.7% |
高値安値まで20pips以内 | GBPJPY | GBPUSD | AUDJPY | AUDUSD |
トレード回数 | 510 | 208 | 219 | 126 |
損益 | -34520 | 1809 | -57960 | -26691 |
勝率 | 26.8% | 24.5% | 20.6% | 19.8% |
20pipsのケースではGBPUSDのみ利益は出ていますがとても「ほぼ聖杯」と言える内容ではありませんし、実際のバックテスト結果を見ても実用レベルではありません。
オシレーターを使うことで精度を上げているというようなことも謳っていましたのでフィルターなし、推奨のエントリー条件ではない逆張りでも検証を行いました。
オシレーターフィルターなし
高値安値まで20pips以内 | GBPJPY | GBPUSD | AUDJPY | AUDUSD |
トレード回数 | 709 | 314 | 417 | 241 |
損益 | -26770 | 11598 | -94200 | -37933 |
勝率 | 27.5% | 25.8% | 21.6% | 19.9% |
ポンド系はフィルターない方が成績良くなってますね。
オシレーターフィルター逆張り
高値安値まで20pips以内 | GBPJPY | GBPUSD | AUDJPY | AUDUSD |
トレード回数 | 182 | 100 | 201 | 117 |
損益 | 4560 | 13232 | -33030 | -9837 |
勝率 | 29.7% | 29.0% | 22.9% | 20.5% |
豪ドルは効果ありませんが、ポンド系は多少効果がありそうです。
どちらにせよこれでは実用化するレベルではありません。
なぜ「ほぼ聖杯」と謳ってるのか?
ししゃもはTwitterでは「成立」という言葉を使ってます。
このカラクリを表紙を使って説明します。
実際の判定時間は16:15までのため16時にポジションを持ち、その後損切になっても半値まで戻せば「成立」となるのです。(オレンジのライン)
後から見ればわかることですが16時の時点では高値安値は更新される可能性があり、その時点で損切となる可能性があります。
これはほぼ聖杯のボイスチャットにも参加していた人からもらったDMです。
機械的にやって勝てるならボイスチャットで実況する必要もありませんし、自動売買でやった方が楽ですよね。
インジケーターは買うべき?
ほぼ聖杯のオマケでMT4のチャートで東京時間を色で囲いわかりやすくし、半値を表示するインジケーターと、RSIを平滑化したオシレーターがもらえます。
同じ機能のものを友人がフリーインジケーターとして公開してくれたので欲しい人はリンク先から入手してください。
そもそもどういうロジック?
このロジックがどういうロジックかは松崎美子さんの動画がとても参考になると思いますので興味がある人は見てみると良いと思います。
そもそもロンドン市場には夏時間と冬時間があり、欧州の人はその時間で生活しています。それを無視して年中日本時間16時で取引なんて…と個人的には思ってしまいます。
もっとロンドンプレーヤーの視点で時間や通貨ペアの選定を行えば優位性も見出せるので興味がある人は調べてみましょう。
特に冬時間の日本時間15~16時は…^^